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神奈川予選 対戦環境レポート 【20160919】


 
  • 2016年09月30日

ついに始まりました、BATTLE X ROAD予選。本稿は予選3日前に発売されたCP6によって影響を受けた神奈川会場の対戦環境レポートです。

≪神奈川会場のルールについて≫
午前にジュニア/オープンの混成スイスラウンドを行い、ジュニア:8名、オープン:16名の成績上位プレイヤーがそれぞれ別に決勝トーナメントへ。
決勝トーナメントはシングルイリミネーション。最後まで勝ち残ったジュニア、オープンの各1名が率いるユニットがBXR本戦に出場できます。
この会場では、決勝トーナメントに際してデッキチェンジが可能です。
午前の傾向から、どのようなデッキを手に挑むのか。構築力やプレイングのほか、環境分析力なども試されます。

≪予選:スイスラウンド≫
午前のスイスラウンドは5回戦。様々なデッキタイプが入り乱れます。予選については環境考察という形でレポートしていきましょう。

デッキ分布
多種多様なデッキを見る中で、根強い人気を誇る【ゲッコウガBREAK(XY9)】や、大ダメージが魅力の【ボルケニオン(XY11)】【ボルケニオンEX(XY11)】を組み合わせたデッキが目立ちました。
この2つのデッキには共通点があります。特殊エネルギーやスタジアムへの依存度が比較的低いと考えられます。
なぜ特殊エネルギーへの依存度が低いこれらのデッキが好まれたのでしょうか。

【ギラティナEX(XY7)】から見るメタゲーム推移
全体的に混沌としたデッキ分布ですが、M進化ポケモンや【ダブル無色エネルギー】【ダブルドラゴンエネルギー】での起動を前提としたポケモンをメインに据えたデッキに対して、特性とワザにより有利に戦える【ギラティナEX】は環境のキーカードと考えられます。

【フラダリの奥の手】が使用禁止カードに指定されて以来、猛威を振るっていた【バチュル(XY4)】を主軸にした、いわゆる夜の行進デッキは昨今のトーナメント環境において、無視できないデッキの筆頭でした。
特に雷タイプ、超タイプが弱点のポケモンEXを主軸に据えたデッキは、【バチュル】【バケッチャ(XY4)】を常に意識しなければならず、対策を取っても【オカルトマニア】【ポケモンレンジャー】【フラダリ】【クセロシキ】など、夜の行進には対策を回避する方法が豊富にありました。
そんな夜の行進が支配する環境において、相手トラッシュに干渉してダメージ量をリセットできるサポート【カリン】が登場しました。
万能かと思われていた夜の行進は、【カリン】を採用したデッキ、たとえば【MサーナイトEX(XY11)】の存在により、万能のデッキではなくなりました。
夜の行進デッキが対戦環境から減り、それに伴い【MレックウザEX(XY6)】を主力にした、「白レック」と呼ばれる系統のデッキの再評価が行われました。

環境が推移する中、今度は白レックに対抗できる手段が求められるようになりました。そこで力を発揮するのが【ギラティナEX】です。
特性「はんこつのはどう」により、M進化ポケモンからワザのダメージを受けず、白レックの生命線である【ダブル無色エネルギー】【スカイフィールド】【レックウザソウルリンク】をワザ「カオスウィール」で封殺することができます。
更に【ダブルドラゴンエネルギー】や【ダブル無色エネルギー】を使用することから、【ボーマンダEX(PR)】【ガマゲロゲEX(XY3)】などの白レックが苦手にする多くのカードを無理なく採用でき、、十分に戦える理由を明確に示すことができます。

【ジラーチ(PR)】の弱体化
白レック以外のデッキのゲームメイクを
考えても、ギラティナへの追い風は吹いていると考えられます。【ギラティナEX】に【ダブルドラゴンエネルギー】がついていれば、【マギアナEX(XY11)】を採用する事により、特性「ミスティックハート」を利用した、ワザ「スターダスト」への対策が可能です。
この点は白レックも同様であり、白レックの構築のトレンドは、夜の行進対策の【サンダースEX(PR)】から【マギアナEX】にシフトしているのが見て取れます。

相手の特殊エネルギーをはがしながら壁となれる便利なカードである【ジラーチ】が機能しなくなる構築を相手にしなければならない可能性が高くなることから、盤面の完成が遅いデッキにはやや逆風といえます。
【ジラーチ】でゲームテンポをコントロールしていた中速-低速のデッキは、【ジラーチ】対策カードへの対策をとるか、別のアプローチを行うかの2択に直面しています。

ゾロアークについて
【ゾロアーク(XY8)】及び【ゾロアークBREAK(XY8)】は白レックとギラティナに対してスマートなカウンターの筋道を持つポケモンです。
【ゾロアーク】のワザ「マインドジャック」は、ベンチにポケモンを展開するデッキに対して無類の強さを誇ります。【スカイフィールド】の効果で拡張したベンチにポケモンをフルに置いた場合、【ダブル無色エネルギー】1枚という破格のコストでの250ダメージを受ける事を覚悟しなければなりません。
当然、必要枚数、サイドカード数でのアドバンテージは【ゾロアーク】側にあります。
【ギラティナEX】と対峙した場合、【ゾロアークBREAK】のボード制圧力は非常に高いです。エネルギー4個を必要とする「カオスウィール」を、ワザ「イカサマ」により、【基本悪エネルギー】1枚で使用できるため、ギラティナ側は新たに【ダブルドラゴンエネルギー】【ダブル無色エネルギー】を手札から出してつけられなくなります。【ゾロアークBREAK】のHPは140あるため、【闘魂のまわし】【サカキの計画】で同時にダメージ量が上がったとしても「カオスウィール」を1回受けることができます。【クセロシキ】で相手の【闘魂のまわし】や【ダブルドラゴンエネルギー】をトラッシュし、相手の盤面からエネルギーを排除することができれば、そのまま盤面の主導権を握り続けることができるケースも多いです。

一方で、ゾロアークデッキには、ボルケニオンデッキに対して必要カード枚数やテンポでのアドバンテージを取りづらいという欠点もあります。
ベンチを3枚まで絞られた場合、無傷の【ボルケニオン】に決定打を持たず、アドバンテージ差が開き、【ボルケニオンEX】については「イカサマ」を使っても180ダメージを出すことは叶いません。ゾロアークと同時に採用されることが多い【ビークイン(XY7)】が弱点を突かれて少ないリソースで排除されてしまう点も痛手です。弱点の闘タイプデッキはもとより、ボルケニオンデッキに押されたか、ゾロアークデッキの使用人数は多くはありませんでした。

ゲッコウガについて
ゲッコウガデッキは比較的多く見られましたが、午前のラウンドでかなり数を減らしたようです。
先述の通り、ゲームテンポの要因が大きいのではないかと考えますが、ゲッコウガデッキの構築の傾向を分析する上で、スタジアムの選択に着目したいと思います。
XY10環境までのゲッコウガでよく見るスタジアムといえば【うねりの大海】が多かったのですが、【サイレントラボ】にトレンドが移っているような印象を受けました。
採用意図としては、おなじみ【シェイミEX(XY6)】はもちろん、【ボルケニオンEX】【カイリューEX(CP6)】や【マギアナEX】、【マナフィEX(XY9)】などを警戒してでしょうか。
ウォーターツールボックスと呼ばれる、水タイプのポケモン複数体を【マナフィEX】の特性を使ってノーコストで逃がしながら【エネルギーつけかえ】で必要なエネルギーを確保し、順番に【うねりの大海】で回復させて再利用するデッキの影響もあるかもしれません。
他にも、CP6のリリース直後でしたが、【スターミー(CP6)】や【タケシのガッツ】を投入したプレイヤーも散見されました。
これらのカードが採用されることにより、ゲッコウガデッキは特性のコストである基本水エネルギーの総量を増やすことができ、特性「みずしゅりけん」「きょだいみずしゅりけん」をより多く使用する事が可能になりました。
ゲームがスローになればなるほど、ゲッコウガデッキはその力を発揮するため、相手の展開を妨害する、あるいは自身の展開速度を上げる、テンポのコントロールが目下の課題になってくると考えられます。

≪決勝トーナメント:シングルイリミネーションラウンド≫
決勝トーナメントでのデッキの傾向は、全体的に立ち上がりが早いデッキが多く、次いで妨害型のデッキが多いという分布でした。
この決勝トーナメントにおいては、制限時間経過後にゲームが終了していない場合、サイドカードの枚数により勝敗を決めるルールでした。
サイドカードが同数で並んだ場合はサイド1枚のサドンデスを行います。

ルールを踏まえれば、速攻を仕掛け、逃げ切るタイプのデッキを選択するのはごく自然な流れです。
理想的な展開が行えれば、最速で後攻1ターン目に240ダメージを叩き出せる白レック、【鍛冶屋】と十分なエネルギーがあれば130以上のダメージをいきなり狙える【ボルケニオンEX】など、速攻が可能なデッキは魅力的な選択肢です。

一方で、妨害型のデッキも決して立ち上がりが遅いわけではありません。
1ターン目に【オーロット(XY1)】や【ラフレシア(XY7)】を盤面に出された場合を考えてみましょう。
相手のグッズを使用不能にすることでゲームをコントロールするデッキは、グッズへの依存度が高い白レックや夜の行進などのデッキにとって、脅威になることは間違いありません。
これらのグッズロックデッキの傾向として、ゲームプランが多くの場合シンプルであること、相手の選択肢を狭めることができ、相手に非ロックデッキと異なるプレイングを強いることができること、相手の手札が噛み合わないことにより、ワンサイドゲームで勝利を得ることができる可能性が高いことなど、使用するメリットは十二分にあります。


≪決勝レポート≫
ジュニアの決勝は【MサーナイトEX(XY11)】を主軸にしたコントロール傾向のデッキに対し、【ゼルネアスBREAK(XY11)】と【ギラティナEX】を組み合わせたエネルギーブースト型のデッキの対戦でした。

タイプ相性や【ゼルネアス(XY1)】のHPなど、ギラティナ側に不利な要素が多かったのですが、サーナイト側が盤面の展開を優先し、序盤に【バトルサーチャー】を多く消費していたため、最終盤に【MサーナイトEX】が単騎残った【ギラティナEX】を突破することができず、ギラティナ側がサイドを取り切りました。
盤面を絞り切ったギラティナ側の勝利は意外な結果でありますが、M進化ポケモンを【次元の谷】の効果により1枚のエネルギーで動かすデッキにおいて、【メガターボ】にも【次元の谷】にも対応しない【サーナイトEX(XY11)】にエネルギーを3枚つけるプランでの攻略はゲームの早い段階から意識しても難しいと考えられます。
【オカルトマニア】で【ギラティナEX】の突破か、それができなければ【フラダリ】でベンチポケモンを狙うパターンが多いですが、最終的な盤面において、サイドを取る手段としての【フラダリ】が使用できなくなった点も致命的でした。


オープン側の決勝はオーロットとラフレシアの対戦でした。
よく【ラフレシア】と組み合わせが見られるポケモンには、【ジガルデEX(XYG)】や【ビークイン】などが挙げられますが、【サンダースEX】や【イベルタルEX(XY1)】など、様々なポケモンの中から状況に応じたポケモンに【レインボーエネルギー】をつけて戦わせるツールボックスタイプのデッキでした。
オーロット側は【クラッシュハンマー】や【クセロシキ】等により、相手のエネルギーカードをはがし、【オーロットBREAK(XY9)】を場持ちさせるタイプのデッキです。
序盤にゲームをコントロールしていたのはオーロット側でした。特殊エネルギーに依存するデッキである上に、相手は【ラフレシア】をベンチに出すことができません。【クサイハナ(XY7)】をバトル場に残した相手に対してワザ「サイレントフィアー」を容赦なく使い続けます。
ゲームが動いたのは中盤でした。ラフレシア側は【グレイシアEX(XY10)】のワザ「クリスタルレイ」による封殺を諦め、【イベルタルEX(XY1)】による真っ向勝負に絞りました。
的確なタイミングでの【レインボーエネルギー】剥がしをかいくぐり、、相手のアタッカーを潰すことに成功し、サイドを取られる前に90ダメージを受けた【シェイミEX】をワザ「スカイリターン」で盤面から回収することに成功しました。
これが響いたか、オーロット側はサイドを6枚取る道筋を失い、最後はオーロット側の山札切れで決着を迎えました。

≪神奈川会場の総括≫
この日プレイヤーに試された要素として、「対応力」というキーワードが思い浮かびました。
XYシリーズの最終環境であるXY1〜CP6という膨大なカードプール、多種多様なデッキが入り乱れ、デッキ傾向を読みづらい事は多くの人が実感していることでしょう。
この日はCP6の発売直後であり、発売後、練習が可能な時間は僅か2-3日という、非常に流動的な移行期においての開催でした。
CP6でゲームに大きな影響を与えたカードの筆頭として挙げられるのが、【スターミー】と【カイリューEX】です。
それぞれ強力な特性を持ちますが、ベンチや手札の管理がシビアになる側面もあるため、発売直後での投入はリスクを伴う選択でもあります。
そのリスクを取って決勝トーナメントに上がったプレイヤーも数多くいましたし、従来の使い慣れたデッキを使うプレイヤーも手堅く駒を進めていました。
この会場では、決勝トーナメントでデッキの変更が可能なルールを採用していたことも、いわゆる「初見殺し」を後押しする土壌であり、対応力が試される会場でした。
もちろん、デッキを使いこなせなければ使用者を窮地に追い込むため、自分のスキルや練習量、プレイスタイルにあわせてデッキの内容を調整する対応力も同時に試されます。

地理的な要素に目を向けると、大阪、愛知、宮城の各地と比較し、神奈川と東京は非常に近い位置にあります。
参加可能人数やBXRへの招待ユニット数、決勝トーナメントでのデッキチェンジの可否等、予選を通しての戦略立案の段階で神奈川を選んだ方もいらっしゃるかもしれません。
また、神奈川会場は他の会場では採用されていない、ジュニアのみの決勝トーナメントを行っている点にも着目したいと思います。
本戦はジュニア選手も全てオープンでの参加にはなりますが、予選段階でシニア・マスターの選手との競合を回避できるのも、この会場に挑むジュニア選手が得るアドバンテージとなります。
もちろん、ジュニアリーグの選手にも強豪と呼ばれる選手がひしめいているため、彼らが同様の考えを持つ可能性も無視はできません。
複数のBXR予選には参加できないという条件の中、エントリーの段階から判断力を試されたのかもしれません。

次回は11/3(祝)の東京会場。練習期間を充分に確保でき、公式イベントを挟んだ東京会場においては、どのようなデッキが現れるのか。今から楽しみです