考察記事

BXR予選第一期 振り返りと結果考察


入賞デッキイメージ画像

10月8日、北海道。10月15日、宮城県。
北日本の二会場で行われたBATTLE X ROAD(バトルクロスロード):予選第一期は盛況のうちに幕を閉じ、各大会の優勝と準優勝、計4人のプレイヤーが、1月の全国大会への切符を手にしました。

本記事では、それぞれ二大会の大会結果を振り返り、見事に優勝・準優勝を勝ち取ったデッキのキーポイントを見ていきたいと思います。

もしも前回記事(BXR予選開幕!デッキと環境おさらい)をご覧になられていない方がいらっしゃれば、併せてご一読いただけますと、内容がいっそうわかりやすいかもしれません。

10月8日 北海道大会(メガアローゼン杯)

先陣を切って行われた北海道大会では、9月のチャンピオンズリーグ横浜大会で大活躍していた「ゾロアークGX・ルガルガンGX」デッキや「マーシャドーGX・よるのこうしん」デッキを抑え、【マッシブーンGX(SM4S)】を軸に据えたデッキが最も多くの使用者を集めました。

 【マッシブーンGX】は、速攻にぴったりの1エネワザ「ジェットパンチ」を持っているため、進化デッキに対しては相手がたねポケモンのうちからダメージを与えていき、有利な状況を作ることができます。
またそれだけでなく、【マッシブーンGX】は闘タイプなので、多数の使用者が予想されていた「ゾロアークGX・ルガルガンGX」デッキの主力【ゾロアークGX(SM3+)】やその進化前の【ゾロア】の弱点をつくことができ、また、同じく強力な【シルヴァディGX(SM4S)】や、同じくその進化前【タイプ:ヌル(SM4S)】にも弱点で2倍のダメージを与えられます。

そう考えれば、【マッシブーンGX】の流行は決して意外なことではなく、プレイヤーたちが環境を読み解いた結果ともいえるのです。

とはいえ、使用者数の2番手には、やはり「ゾロアークGX・ルガルガンGX」、そして3番手には「マーシャドーGX・よるのこうしん」と続いています。
前回記事では、この2つのデッキが強い理由について触れましたが、対策されてもなお、この2つのデッキの人気、強さは揺るぎないようです。

しかしながら、それらのデッキをかき分けて優勝を果たしたのは、【ジュナイパーGX(SMA)】を主体としたデッキでした。

 

ジュナイパーGX

使用者(戦績) オオノ(北海道大会優勝)

ポケモン

モクロー SMA 4
フクスロー SMA 4
ジュナイパーGX SMA 4
カプ・コケコ SM2+ 2
シェイミEX XY6 2
マーシャドーGX SM3N 1
カプ・テテフGX SM2L 1
エーフィEX XY9 1

エネルギー

ダブル無色エネルギー   4
草エネルギー   2
カウンターエネルギー   1

トレーナーズ

プラターヌ博士   2
N   1
グズマ   1
クセロシキ   1
バトルサーチャー   4
ハイパーボール   4
バトルコンプレッサー   4
トレーナーズポスト   4
活力剤   4
かるいし   3
レスキュータンカ   2
巨大植物の森   4

【ジュナイパーGX(SMA)】を使ったデッキといえば、チャンピオンズリーグ2017愛知大会や、同千葉大会などで活躍した「ジュナイパーGX・アローラキュウコンGX」デッキが有名で、多くの使用者を集めました。

ところが先日の「ひかる伝説」発売以後、「ジュナイパーGX・アローラキュウコンGX」デッキはめっきり見かけなくなってしまいました。その理由のひとつとしては、主力であった【アローラキュウコンGX(SM2L)】が、【ゾロアークGX(SM3+)】に一発で倒されてしまう、という点が挙げられるでしょう。

「ジュナイパーGX・アローラキュウコンGX」のメイン戦略は、【アローラキュウコンGX】がバトル場で数ターンがんばって、ワザ「こおりのやいば」と【ジュナイパーGX】の特性「フェザーアロー」で、相手の場に効率よくダメージを乗せていく、というものです。そして最後は【エーフィEX(XY9)】のワザ「ミラクルシャイン」で相手の場のポケモンをすべて退化させて勝ち、という、わかっていても対処しづらい強力な動きが、あのデッキの持ち味だったのです。

しかし、HP210の【アローラキュウコンGX】が一発で倒されては、このプランも思うようには機能しません。
そして前回記事で触れたとおり、「こだわりハチマキ」をつけた【ゾロアークGX】のワザ「ライオットビート」の最大ダメージは210。
その最大ダメージが届いてしまう、210というHPは、GXポケモンのひしめく現環境においては、ひとつのキーとなる数字になっているのです。

このデッキは、【ジュナイパーGX】の強力な特性「フェザーアロー」を活かしつつ、しかし【アローラキュウコンGX】はすっぱりと諦め、メインの攻撃役は【カプ・コケコ(SM2+)】に絞っています。
どうせ一撃で倒されてしまうなら、サイド2枚を取られるEXやGXよりも、EX/GXでないポケモンを攻撃役に据えよう、という合理的な考えが伺えます。

【カプ・コケコ】は2枚、さらに2枚の【レスキュータンカ】や【カウンターエネルギー】まで投入し、徹底してワザ「かいてんひこう」を使い倒そうという意志が感じられます。そして充分に相手の場にダメージがたまったところで、伝家の宝刀【エーフィEX】の「ミラクルシャイン」まで繋がれば、たとえ「ゾロアークGX・ルガルガンGX」デッキがどれだけGXポケモンを場に並べてもひとたまりもありません。

トレーナーズも、【トレーナーズポスト】に加え、【バトルコンプレッサー】【活力剤】のコンボも4枚ずつ投入。【カプ・コケコ】の攻撃を後押しするため、【ジュナイパーGX】をとにかく早く場に出そう、という意欲的な構築です。

現環境では確かに「ゾロアークGX・ルガルガンGX」は強力です。しかし、【ジュナイパーGX】とて、その強さが失われたわけではありません。
このデッキは、【ジュナイパーGX】の強さを活かしつつ、「ゾロアークGX・ルガルガンGX」に勝てるように構築されています。優勝という結果は、まさにその意図が正しかったことの証明でしょう。

 

マーシャドーGX・よるのこうしん

使用者の戦績 カゲロウ(北海道大会準優勝)

ポケモン

バチュル XY4 4
バケッチャ XY4 4
ランプラー XY4 4
マーシャドーGX SM3N 2
シェイミEX XY6 3
カプ・テテフGX SM2L 1

エネルギー

ダブル無色エネルギー   4

トレーナーズ

プラターヌ博士   3
N   1
センパイとコウハイ   1
グズマ   1
オカルトマニア   1
バトルサーチャー   4
ハイパーボール   4
バトルコンプレッサー   4
時のパズル   4
トレーナーズポスト   3
こだわりハチマキ   3
フィールドブロアー   1
あなぬけのヒモ   1
かるいし   1
レスキュータンカ   1
スペシャルチャージ   1
次元の谷   3
パラレルシティ   1

惜しくも準優勝でしたが、前回記事でも触れた「マーシャドーGX・よるのこうしん」デッキは、ここでもしっかりと結果を残しています。

先日のチャンピオンズリーグ横浜2018で活躍していた「マーシャドーGX・よるのこうしん」デッキ(http://www.pokemon-card.com/)との大きな違いは、【ゾロアークGX】を入れずに、各種グッズやスタジアムを厚く投入している点でしょう。

特に【パラレルシティ】は「ゾロアークGX・ルガルガンGX」デッキに劇的に効く1枚です。たとえば【センパイとコウハイ】で【パラレルシティ】を手札に加えつつ、相手のバトル場の【ゾロアークGX】をこちらの【マーシャドーGX(SM3N)】で倒すことができれば、状況はかなり有利になります。もしも相手の次のアタッカーが、ベンチの枚数のせいでこちらの【マーシャドーGX】を倒すことができなければ、そのまま勝てる可能性は非常に高くなります。

【マーシャドーGX】にとっては、相手の【オカルトマニア】で特性「シャドーハント」を止められてしまうのは痛い動きです。が、しかしそうされても、代わりに【バチュル(XY4)】や【バケッチャ(XY4)】が相手のGXポケモンとしっかり戦えるように、【こだわりハチマキ】が多めに3枚入れられています。

10月15日 宮城大会(七夜の願い星カップ)

前週の北海道大会では、全体として「ゾロアークGX・ルガルガンGX」を意識したデッキ選択が目立ちましたが、しかしその翌週、宮城大会では、「ゾロアークGX・ルガルガンGX」が、ダントツの使用率を誇るという、現環境を象徴するような大会となりました。そして2番目の使用者数は、やはり「マーシャドーGX・よるのこうしん」。この2つのデッキが現環境の2トップなのは、もはや誰の目にも疑う余地のないところです。

そして3番人気となっていたのは【グソクムシャGX(SM3N)】を軸としたデッキ。ポケモンWCS2017の準優勝が記憶に新しいところですが、サブアタッカーの選択肢も広く、また【ルガルガンGX(SM2L)】の弱点を突けたりと、依然として根強い人気のある強力なカードです。

そのようなメタゲームの中、優勝したのは何と、【ゼルネアスBREAK(XY11)】をメインアタッカーとした驚きのデッキでした。

 

ゼルネアスBREAK・クロバット

使用者(戦績) B兄(宮城大会優勝)

ポケモン

ゼルネアス CP5 4
ゼルネアスBREAK XY11 3
ズバット XY4 3
ゴルバット XY4 3
クロバット XY4 2
カプ・テテフGX SM2L 1
オドリドリ SM1+ 024 1

エネルギー

フェアリーエネルギー   10
ダブル無色エネルギー   2
カウンターエネルギー   2

トレーナーズ

プラターヌ博士   3
N   3
アズサ   2
グズマ   1
バトルサーチャー   4
ハイパーボール   4
学習装置   3
こだわりハチマキ   2
レスキュータンカ   2
フィールドブロアー   1
すごいつりざお   1
パラレルシティ   3

ゼルネアスといえば、ワザ「レインボーフォース」を持つ【ゼルネアス(XY8)】のほうはたびたび各ジムバトルなどで上位に姿を見せていましたが、このデッキは、XYシリーズの一番最初に登場した、「ジオコントロール」を持つ【ゼルネアス(CP5)】からゲームをスタートさせます。

ワザ「ジオコントロール」で場にエネを貯めたら、【ゼルネアスBREAK(XY11)】の「ライフストリーム」と、【クロバット(XY4)】の特性「とつぜんかみつく」で相手にどんどんとダメージを与えていきます。「ライフストリーム」は場のエネルギーの数だけダメージが上がるため、【ダブル無色エネルギー】【学習装置】そして「超次元の暴獣」で登場した【カウンターエネルギー】が、そのダメージを支えます。

見落とされがちですが、【ゼルネアス】は悪タイプへ抵抗力を持っているため、【ゼルネアスBREAK】のHP150は、たとえば、環境トップをひた走る【ゾロアークGX】にとっては、実質的にHP170のようなものです。
さらに【ゾロアークGX】に強くするため、【パラレルシティ】は何と3枚。「ライオットビート」のダメージを徹底的に抑える意図がはっきり伝わってきます。

そしてトップ2のうちのもう片方、「マーシャドーGX・よるのこうしん」デッキに対しては、【クロバット】がいぶし銀の働きを見せます。【マーシャドーGX】の弱点は超タイプ。「こだわりハチマキ」のついた【クロバット】のワザ「ちょくげきひこう」は【マーシャドーGX】に対しては120ダメージになるため、特性の「とつぜんかみつく」の30ダメージと合わせれば、ぴったり【マーシャドーGX】を倒すことができるのです。もちろん、HPの低い【バチュル】や【バケッチャ】は、【クロバット】や【オドリドリ(SM1+024)】の格好のターゲットです。

また、アタッカーを務める両カードがEX/GXではない、というのも見逃せない点です。GXポケモンが猛威を振るう現環境で、あえてEX/GXではない、つまり倒されてもサイドを1枚しか取られないポケモンで戦うことで、サイドの取り合いで有利に立とう、という意図も見え隠れします。

「ゾロアークGX・ルガルガンGX」や「マーシャドーGX・よるのこうしん」が強い環境の中で、それらに狙いを定めたデッキを組み上げ、そして見事に優勝する。その発想力と判断力は、間違いなく、優勝という結果にふさわしいものでしょう。

 

ニンフィアGX

使用者(戦績) リョウ(宮城大会準優勝)

ポケモン

イーブイ SM1+ 4
ニンフィアGX SM1S 3
ソーナンス XY4 2
ホエルオーEX XY5 1
オドリドリ SM1+ 023 1
メタモン XY-P 1
ホルビー XY5 1

エネルギー

フェアリーエネルギー   6
ダブル無色エネルギー   1

トレーナーズ

N   4
ポケモンだいすきクラブ   4
フレア団のしたっぱ   3
プルメリ   2
ロケット団の工作   2
こわいおねえさん   1
クロケア   1
バトルサーチャー   4
まんたんのくすり   4
時のパズル   4
かるいし   4
改造ハンマー   2
カウンターキャッチャー   2
びっくりメガホン   1
サイレントラボ   2

奇しくも優勝と準優勝が、それぞれフェアリータイプのポケモンを使ったデッキになりました。しかしながら、デッキの動きは正反対といえるほどに違います。

優勝した【ゼルネアスBREAK】デッキが正統派にダメージでの勝利を目指すのに対し、こちらの【ニンフィアGX(SM1S)】を主体にしたデッキは、相手にダメージを与えることよりも、相手の場のエネルギーや手札をどんどんと捨てて、相手の勝ち手段を奪い、最後は山札切れによる勝利を狙います。
山札切れのことを、他TCGの言葉を借りて「ライブラリーアウト」、略して「LO」と言うため、このデッキも俗に「ニンフィアLO」と呼ばれることもあるデッキタイプです。

基本的な戦い方は、【ニンフィアGX】のワザ「マジカルリボン」で、必要なサポートやグッズを持ってきます。優先されるのは、【フレア団のしたっぱ】を始めとした、相手の場のエネルギーを破壊するカード。 【フレア団のしたっぱ】【プルメリ】【改造ハンマー】といったエネルギーを破壊するカードたちは、メタゲーム内のデッキが特殊エネルギーばかり使っていたり、あるいはデッキ内のエネ総数が少ないときに、特に効果を発揮します。
その筆頭が、この記事では何度も槍玉に挙がる「ゾロアークGX・ルガルガンGX」。【ダブル無色エネルギー】4枚と、【ストロングエネルギー】または【闘エネルギー】が計3枚程度というエネルギーバランスは、【フレア団のしたっぱ】や【改造ハンマー】の格好の餌食です。

しかも【ニンフィアGX】は、HP200に加え悪タイプへの抵抗力も持っています。【ゾロアークGX】の「ライオットビート」では、たとえ【こだわりハチマキ】のダメージ追加ぶんがあっても、倒すにはぎりぎり足りないという、非常に憎らしいカードです。

その脇を固めるのは、エネルギー破壊という基本戦略の弱い部分をバックアップするカードたち。【ソーナンス(XY4)】は、【ジュナイパーGX】の「フェザーアロー」や【マーシャドーGX】の「シャドーハント」など、やっかいな特性を封じ込めます。巨大戦艦【ホエルオーEX(XY5)】と【まんたんのくすり】のコンビネーションは250未満のダメージをすべてシャットアウト。【ホルビー(XY5)】は【ロケット団の工作】とともに、エネルギーの切れた相手の山札に狙いを定め、時間内で勝ち切る役目を担います。
相手が【フレア団のしたっぱ】を警戒してベンチにエネルギーを付け始めたなら、【カウンターキャッチャー】の出番。そして【サイレントラボ】も、【ボルケニオンEX(XY11)】の「スチームアップ」のような、致命的な特性を止めるための大事なカードです。

まとめ

BATTLE X ROAD(バトルクロスロード):予選第一期の2大会では、どちらも、「ゾロアークGX・ルガルガンGX」、そして「マーシャドーGX・よるのこうしん」という2大デッキが、高い使用率を誇っていました。現環境は、この2つのデッキを中心に回っているといっても過言ではないかもしれません。

しかしながらそのどちらの大会でも、優勝したのは、「ゾロアークGX・ルガルガンGX」をきっちり倒す手段を持ったデッキでした。アイディアに溢れたデッキからは、学び取ることが多くあります。なぜ優勝することができたのか、その理由を考えてみることは、自分のデッキ作りにも、必ず役に立つからです。

今週末からは、第二期予選が始まります。22日の愛知大会(ゴールド・ギャラドス・カップ)、そして29日の大阪大会(関西ネクストジェネレーションズカップ)は、どちらも参加者100人を超える激戦になることが予想されます。そしてそれらの大会直前には、「GXバトルブースト」の発売まで控えているのです。

新加入のカードたちが環境に変化をもたらすのか。それとも、既存のデッキが変わらず強さを見せるのか。
注目の第二期予選の結果は、次回の記事でじっくりと見ていきます。

 
  • 文: ukinin